もう一度、はじめから

午後になったらお茶を淹れて。
立ち上る湯気にくすぐられながら、今日を思い出す。


「今日の昼食は美味しかったな」


「カレーですね」


「もう少し、辛かったらもっと良かったのだけど」


「…他には?」


瞳を閉じて、彼女は耳をそばだてる。


情景は浮かんで消え、音は流れ失せ、
匂いは立ち登った後に去る。


メモを取っているのだ。


「うーん…、雨の音は嫌いじゃないけど、窓が開けられないのは憂鬱だね」


「開けてみましょうか?」


「少しね」


「あの…他には?」


平凡な一日は、存外、日記のネタに困る。


「降参だ、そっちは何か無いのかい?」


「私ですか?」


急に話を振られたからか。
何か色々なものを考えたからか。


彼女は、あ…とか、う…とか、呪文を唱えて。
大事なことを、ひとつ思い出した。


「あ」


「あの…すみません」


「日記の内容…はじめから言ってもらえます?」

日記を書いていたら、BSキーで編集内容すっ飛ばしてしまいましたよ…orz
今日書くはずの内容は、明日まとめて書きます…。