ミクロ概念からの昇華と脱出

ゲームとか
D&D3.5e。そろそろ長いキャンペーンになってきたので、前回のプレイとあわせて、コレまでの粗筋を総集編っぽく書いておく。

初めの世界は、1州5群からなるさる公爵領*1であった。この地を治める野心家貴族達に、己が腕を売りながら権力闘争に巻き込まれていったPC達は、多くの冒険の末、公女の信頼を得るに至る。ところがその横に居た摂政は、悪の来訪者たるラクシャーサであったのだ。彼は彼の思う所の正義感(や、秩序感だろう)から、貧民街を焼き、街を活性化させ、国を安定化させていた。彼に共にこの国を治めないかと問われるPC達。しかし、それを断わり対峙する道を選ぶ。摂政を討った後、悪は滅びたかに見えたが、しかし、そこに残されたのは混沌だけであった。
表向き悪を払ったPC達。その中の一人、魔法使いは男爵に任ぜられ、地方部族の首領の娘との婚儀が迫っていた(その地を治めやすくする為の政略結婚である)。ところが、その婚儀の折、彼はクーデターを起こす。彼は貧民街に住んでいた自分の妹を死に追いやった貴族全てと、貧民街を焼くその手助けをしたPC*2を激しく憎んでいたのだ。
軍団を手に入れた魔法使いから、なすすべもなく撤退するPC達。部族の聖域に逃げ込んだ彼らは、そこにある井戸が一方通行のポータルである事に気づいた。しんがりの一人の戦士を残して、彼らは飛び込んだ。


何故、世界を治めるのは公爵家であったのか。否、初めは王家であったのだ。5州、40群からなるその土地は、王家と四つの公爵家が治めていたが、内乱の果てに、ひとつの公爵家が次元界を渡ったのだ。その奇跡を起こしたのが、『傷の主』と呼ばれるアーティファクトだった。
PC達は、元の世界に戻るための手段を探す。一方、王家では、彼らがやってきたことから、失われた筈の公爵領の存在とそれが蛮族の手に渡っている事を知る。レコンキスタが起ころうとしていた。彼らが帰るために、レコンキスタの成就の為に、数百年ぶりに悪のアーティファクトである『傷の主』は揃えられた。次元の門が開く時、レコンキスタの全軍は生贄に捧げられた*3。全てはただ門を開ける為に。その様子を、王は眉ひとつ動かさずにいた。さも当然と言う風に、PC達に近寄り、剣を抜く。圧倒的な力と、閉じゆく門。二つを相手には出来ない。彼らは門へと走る。人成らざる王は、PC達が門を潜り逃げる間「また会おう」と笑った。


彼らは帰ってきた。そして、今や公爵家の敵であり、その領土の全てを支配していたかつての友を討った。ここに不安の種は取り除かれたのだ(第一部完)。


数年後、かつての勇者は後人を育てるべく授業をしていた。そこに彼はやってきた。「私は言っただろう、また会おう、と」王と対峙する善の勇者。教え子は泣きながら逃げ出す。彼らを保護するべく、また、この世界に散らばる僅かな善の灯火を消させない為に旅をしていたバードが、彼らを救った。そして、その街の頭上にドラゴンが降り立ち、街は焼け、勇者は死んだ。


復讐を誓う彼らは、その為にまず力を蓄える旅に出る。彼らは善の使途として、数少ない善の残り香を追っていく。そして、いくつもの恐ろしい事に気がついて行くのだ。


1.この世界は、擬似次元界であり、閉じている。
2.この世界は、基本的に善が存在しない。
3.この世界は、ディヴィルが創った次元界であり、人々は消費されている。
4.かつて、善の神がこの世界を救おうと試みたが、失敗した。


北の山脈、竜の墓場に訪れたPC達は、そこで年老いた竜が今までの全ての財宝を穴に投げ込んでいるのを目撃する。彼らは寿命が尽きる時、そうして財を投げ打つ事で、より上位の存在へ生まれ変われると信じていた。
果たしてその穴には、莫大な財宝があった。そしてそれに群がるスペルゴーント*4ジャガーノート達。そう、ここは世界の処理場だったのだ。
さらにその奥、そのダンジョンの心臓部には、ダイスを振るう賭博場があった。伝説を語るモザイクと、そのサロンに居た紳士は言う。

「英雄を作りたければ四つ、凡人でよければ三つ、水晶を振ればよい。はてさて、チャレンジしてみますかな?*5

ああ、なんと言うことか。この世界のヒトの精神は、ここで生まれていたのだ。「善の力及ばぬ世界で、ヒトはどのような道を選ぶか?」「どのような刺激的な興亡が起こるか?」全てがディヴィル達の戯れであったのだ。
吐き気を堪えながら進んだ更にその奥に、かつての善の使途が居た。
その手には「世界を救う筈の剣」しかし、それは、振るわれれば、この次元界全てを破壊する。後に何が残るかは判らない。だが、それでも、この魂の檻から抜け出す、唯一の手段なのか?

PC達は侮蔑と共に剣を諦め、そのかつての善の使途――かつての摂政の愛人であったパラディン――と別れた。別の手段を探すために(←今ここ13Lv)

酷い話だ。自分としては毎回1キャンペーンで世界観を変えている。ひたすら拡散していく世界観もいいが、そういうのは高校の頃にさんざっぱら遊んだので。今回たまたま世界観が続いたのは、PLからの「続きがしたい」という要望と、出したかった敵(世界の王にしてこの次元界…デヴィル曰く「娯楽のサロン」のゲームマスターヘルファイアーワーム)から、逃げられてしまった、という残念感があった為だ。行き当たりばったりにしては黒い世界観だな。まあ、実は俺はこういうミクロ世界の積層構造みたいなのが、凄い好きなのだ。
さて、DMからの次元界脱出の提案1が却下されてしまったので、次は2の提示です。無への回帰は却下されたので、次はリング、らせん方式で。ループを読んだ時の衝撃は、Ever17をやった時のうれしさに繋がったもんだね。そんな第三視点のお話。
はてさてどうなるやら。



なげえなあ。

*1:こういう話が好きだな俺は

*2:ウィー・ジャスのクレリックである

*3:PC達は、全軍を前にディテクト・グッドを放っている。そして、目の前に居る大群全ての中に、一人も『善』の人間が居なかったことに驚愕した

*4:マジックアイテムを食べるモンスター

*5:それって6回振れたりするの? というPLの問に、そうだねw と返す酷いDMだw